こんにちは。そしてはじめましての方が多いかもしれませんね。
山口県という本州で最も西の県を中心に、ネットサービスの運営からはじまり技術系のことを好物にいろいろなことをやっている石川 @y3sei です。
コスプレで変身してイベントスタッフする機会というか露出というか、そのあたりが多くなりつつあるこの頃ですが、コスプレだけならSF界隈でもお馴染みのコスプレイヤー 水無瀬やす のマネージャーということで(あ、この話はまた後日ですかね。1エントリーかけそう)
改めまして、このエントリーは、2019年アドベントカレンダー「地方IT勉強会 Advent Calendar 2019」の16日目のエントリーです。
私自身は2009年に、当時から日本で最初にイラスト系SNSとして誕生した「お絵かきできるSNS Chixi(ちぃ)」の運営メンバーとして、サービスの安定化・事業化を柱に会社を立ち上げて、山口県という地からネットサービスやプログラム関係全般を開発・サポートして、今年で10年を超えたところです。
# イラスト系SNSで最も有名な某サービスとのシェア争いの話も濃く話せる話題のひとつ…
この10年で山口県という地方でも、IT勉強会という点ではさまざまな勉強会やイベントが立ち上がり、そして今もなお新しい動きが走り続けています。
そのすべてのシーンに居合わせることは仕事との関係など諸事情で叶わなかったものの、繋がりがあったり耳に入ったりと、歩みが早いかどうかはあるものの、ある意味で山口県や山口県民という風土がおり合わさった独自の進化を続けています。
山口県内のITやクリエイター向け勉強会からふりかえる歴史と変遷
最初に少しだけ、この10年の山口県内の私が係わってきたIT勉強会を振り返ってみたいと思います。
山口県WEB勉強会
2010年ごろ、たまたまTwitterの繋がりがきっかけで立ち上がったWeb系勉強会。このシーンに偶然にも居合わせることができたのは幸運だった気がします。
技術分野を限定せず、Webにまつわるものから広くIT分野をカバーし、実際のコードを書くギークな方面から、はたまたデザインや周辺技術まで、幅広いテーマでそれぞれ数人がセッションをし、懇親会を行う。この会で出会った方も実はけっこう多かったような気がします。
いまは継続しての開催からは外れて自然となくなってしまったものの、オープン系の方向からのひとつの大きな波が起こった瞬間だったかなと、今になって思えば感じる勉強会でした。
デザインやDTPの勉強会が立ち上がる
フロント側はあまり私の手中ではないこともあったり、会社の経営がちょっとガタついた時期で参加が叶わぬまま、というところですが、「やまぐち若手デザイナー勉強会(YWCD)」やDTP系勉強会「Yamaguchi DTP Bee」なども立ち上がり、毎月や隔月といった確定的な間隔ではないものの、それぞれの立場や仲間が立ち上がった勉強会も徐々に増えていったような感じです。
WordBench 山口 → やまぐちウェブまわり勉強会
ウェブの分野でも、WordPressの地域コミュニティ「WordBench」が立ち上がり、昨年2018年のWordBench終了に伴い、Meetupではなく独自の勉強会「やまぐちウェブまわり勉強会」として再出発することになりましたが、技術寄りの私としてはこちらへの参加が自然と増えていきました。
山口県内最大級のクリエイターの祭典「クリエイティブハント」誕生!
そうこうしているうちに、YWCD、Yamaguchi DTP Bee、やまぐちウェブまわり勉強会のメンバーが繋がり(正確には相互に参加・協力関係があった)、中心となって、2017年10月にクリエイターを対象にした勉強会イベント「クリエイティブハント」を立ち上げるに至ります。
クリエイティブを収穫(ハント)。
参加された方や登壇いただいた方にも好評を博しており、3年目を迎えた今年も100名以上もの県内外のクリエイターが一堂に会する機会を生み出すことができました。
3分野(DTP、デザイン、ウェブ)のバランスからどちらかといえばフロント寄りになりがちなところもありますが、技術で支えるものや、技術検証なども楽しく係わらせて頂いていて、会社としての協賛(ツールスポンサー)にはしていますが、イベントWi-Fiの提供など、地方の大きめの勉強会やセミナーではまだまだ足りていない分野を技術で支えつつ技術検証してみるという取り組みでの関わりを増やしています。
CoderDojoという新しいウェーブ
なかなかバックエンド側の人との繋がりができない悩みもありつつ、さまざまな勉強会に出入りしていましたが、私の手で山口県内に初導入を果たしたのが子ども達にボランティアでプログラミングを指南する取り組み「CoderDojo」。
地元山口県光市にて、立ち上げたCoderDojo 光。2017年8月に1回目を開催し、今月12月で36回を数えるまでに。最初は4名の参加だったところから、現在は毎回20名程度が安定的に参加してもらえるようになっています。
地道なPRや、イベントへの参加・出展、メディア戦略などさまざまな取り組みが実を結んだ成果ではありますが、これだけ多くの子ども達が集まる場ができていることは、次の勉強会文化を醸成することにも繋がれているかな、と思っています。
さらに、CoderDojoは参加する子ども達だけでは成り立たず、支援する大人やユースの活躍が必要です。
新しく立ち上げていくからには、既存のプロ同士が繋がるだけの勉強会の様式だけに囚われないとりくみやしくみづくりを先例として作ってしまおう!と、さまざまな方の参加がしやすい雰囲気作りを心掛けています。
たとえば、プログラミングについて知識がなければ関われないと思われている部分を払拭する、たとえば記録写真撮影だけや会場設営・撤収だけ、受付業務だけというように限定的な役割での貢献を得られるようにすること、しらないことを聞かれたら知っていそうな人を呼んでくればよいと認識してもらえるようにすること、などです。
このあたりの取り組みは、過去に何度か発表させていただいていますので、ぜひこちらをご覧ください。
結果として、メンターが20名近いという特異性もありますが、8年もの期間、なかなかつながれなかったプログラミングを生業にする同業の方々との出会いや繋がりが、この2年、CoderDojoという場を通じてできてきたことは私自身にとっては目から鱗の体験でした。
現在は県内近隣のDojoがまだ少ないということもあり、メンターが多い方がよりよく、メンター自身のモチベーションにも繋がりやすくなるように、開催する週や曜日は固定していませんが、 「毎月1回以上」 という基本原則で定期開催しています。最大で月に4回開催したこともありました。
Web系プログラミング勉強会「Web×プログラミング」を立ち上げ
2016年ごろからになりますが、2015年12月にオープンした CreativeCoworking カラム の定例勉強会企画としてスタートした、Web系プログラミングを学ぶ勉強会「Web×プログラミング」を私の主催で立ち上げました。
JavaScriptなどのフロント系を中心にはしていますが、全方位でプログラムを生業にする私の持てる知識と経験を生かして、 ウェブサイトを支えるプログラムの技術や、ウェブの技術そのものを知り、覚え、活用する勉強会&相談会として、私から技術を紹介し、もくもくと作り、技術に気軽に触れられる勉強会として、毎月第3木曜 18:30~20:00に定期開催しています。
民間運営のコワーキングスペース&高専生を中心に若い世代が新しい動きを生み出しつつある
そして新しいウェーブは、民間運営のコワーキングスペースと、地元高専の学生が起こしつつあります。
山口県内では2015年ごろからコワーキングスペースができはじめ、2016年に山口県が主導して立ち上げたmirai365以降、県内各地で行政主導型のコワーキングスペースが多く立ち上がっています。
もちろんそれだけではなく民間主導でもいくつか立ち上がっていますが、スペースの趣旨や目的などもあって、自由度の高い民間運営の空間では自由さを生かした多くの取り組みが実現しています。
最近では、2019年12月15日にCreativeCoworking カラムにて「やまぐちITパーティー」が開催されましたが、運営の主体は徳山高専の学生たち。
無理のない会場費や運営体制でも新しい取り組みにチャレンジできるしくみが整ってきています。
地方でIT勉強会を開催し、継続していくということ
地方、特に山口県のIT勉強会は、プロとして現場で活躍するエンジニアと繋がれる機会は意外に多くなかったというのがひとつの収穫です。
肌感覚として感じるのは、山口県内でフリーで活躍している方以外は、多くの場合が製造業のエンジニアであったり、SIerとして定められた範囲の技術で通常業務を行う方が多いのではないかと思います。 そういったあたりも、おそらくエンジニアの勉強会への参加者数が頭打ちになりがちな原因なのではないかとなんとなく感じています。(意見には個人差があります)
よく聞く話として、都市部や他地域で話題になっている勉強会や取り組み、しくみなどを持ち込むという話がありますが、持ち込むだけではうまくいかず、適切なローカライズを施すことができなければ地域に馴染まず、結局参加するメンバーがほぼ同じというような状態が生まれてしまうのでは?と思います。
主催で運営する時に、新しく飛び込んで参加したいという方をいかに歓迎できるかというのはとても重要なことです。元々母数が少ないのですから、仲間が多いに越したことはないですからね。
このローカライズ部分は、開催日や時間帯、主催者や登壇者が誰かというだけでも要素として十分にかわってくるところだと思います。時には主催するという選択だけでなく、誰かの背中を押す役割として、新たなアプローチでのIT勉強会が立ち上がり、新しいメンバーが迎え入れられやすい環境を是非整えていってあげたいと思います。
当然取り組みの中にはうまくいくものといかないものがあると思います。それでも、勉強会は単発では「たまたまその日、その時間帯に参加できなかった」だけで、参加したいという意欲がある方も相応にいらっしゃることでしょうから、定例開催を掲げたのであればたとえ「0人でも継続して開催する」という、ある種の鈍感さを持ち合わせて取り組んでいくというのがコツなのかな、と感じています。
そして私はそろそろ全国区の大きなカンファレンスを地方で開催して、全国からその業界では著名な方が一堂に会する場を作って、更にあたらしい刺激を山口という地方に与えてみたいなと思うこの頃です。